『道は開ける』心の傷を癒す薬のような本
デール・カーネギーの『道は開ける』をご存知でしょうか?
『人を動かす』と並ぶカーネギーの二大名著の内のひとつです。ストレスに悩む現代人に、悩みを解決する方法を教える古典的と言われる本書は、私にとっては薬のような本です。
辛くて辛くてしょうがない時、この本を適当に開いて読み始めると、少しずつ心の重荷が軽くなるのを感じます。
変えられない運命と調和すること
『道は開ける』は、どの章も基本的に「不安」についての考察です。
まずは通しで読むことをオススメしますが、内容をひとしきり理解した後は、パラパラと目次を見て、自分の気持ちの状態にあった章を選んで読むと良いと思います。
私のお気に入りは、第九章「変えられない運命と調和すること」です。
この本の著者デール・カーネギーは、幼い頃の事故により、左手には親指を除いて指が三本しかありません。指を失った時は死ぬほどのショックでしたが、手が治ってからは「悩んだところでどうなるだろう?」と運命を受け入れるようになったとのことです。
さすがにこれほどの体験はありませんが、私の場合も、鬱になりそうなくらい悩んでいる時って、済んでしまった事やどうにもできない事を延々と考え続けているときがほとんどです。
悩む事で物事が解決するのならばどれだけでも悩みますが、たいてい悩むだけ時間の無駄であることが多いです。
それならば、一旦、その困難な状況を受け入れることが肝要だと、この本は気づかせてくれます。
この第九章では、いくつもの例え話でもって、変えられない運命と調和する事によって好転した人生を語り聞かせてくれます。
不安に心が蝕まれてる時に読めば心が軽くなり、まるで薬でも飲んだかのように元気を取り戻す事ができる本です。
一回読んでおしまい!ではなく、繰り返し読む本となるでしょう。
「諦める」と「明らめる」
突然ですが質問です。
「諦める」という言葉にどんな印象を持っていますか?
挫折や失敗のようなマイナスイメージを持ってしまいがちの「諦める」という言葉ですが、元来、「明らかにする」という意味も込められているそうです。
「明らかにする」というのは、つまり、「ものの真実をよく見る」ということです。
仏教において、いつでも、何が起こっても、心苦しまず、おだやかでいられる境地に至るために「あきらめる」という事は、大切な気持ちの持ちようと教えられています。
「変えられない運命と調和すること」というのも一言で言い換えれば「あきらめる」と言う事だと思います。
ただ、言葉で言う事は簡単ですが、実践することは非常に難しいです。
厳しい修行の果てに悟りの境地至ったお坊さんならいざ知らず、私は凡人。辛い事があるたびに『道は開ける』を読む事にします。
あきらめの名言集
最後に『道は開ける』の文中に登場する「あきらめ」についての名言をご紹介します。
すべてはありのまま。そうとしかあり得ず
オランダはアムステルダムの15世紀の寺院碑文より
ありのままを受け入れなさい。ものごとを受け入れることは、あらゆる不幸を乗り越えるための第一歩である
ウィリアム・ジェームス
月を求めて嘆かず、こぼれたミルクを嘆かぬ道を教えたまえ
ジョージ5世
人生の旅路を行くにはまず、十分な諦めが肝心だ
ショーペンハウアー
汝のなかに天国はある
イエス・キリスト
目が見えないことが不幸なのではなく、目が見えないことに耐えられないのが不幸なのだ
ジョン・ミルトン
万物を受け入れる!
マーガレット・フラー
さあ立ち向かおう。夜に、嵐に、飢えに、嘲りに、災難に、妨害に。木々や動物たちと同じように
ウォルト・ホイットマン
この世のすべての病気には薬のあるもの、ないものがある。薬があれば見つけよう。薬がなければ忘れよう
マザーグースの一篇
たとえ一文無しになったとしても、悩んだりはしない。悩んだところで、何も得られるものなどありはしないからだ。私はただベストを尽くし、結果は神の手に委ねるとするよ
JC・ペニー
もし私の手に負えないようなことになったら、運命に任せよう
ヘンリー・フォード
苦境に直面して、もし自分が何かできると思えば、そうするよ。なにもできなければ、忘れてしまう。未来のことは気にしない。というのは、未来に何が起こるかなど誰にも絶対にわからないからだ。未来は、あらゆる力が働いて形作ってゆく!そうした力がどんな刺激を生むのかも分からなければ、理解することもできはしない。だったら、不安を抱いたところで仕方がないだろう?
K・T・ケラー
幸福への道はひとつしかない。それは、我々の意志ではどうにもできないことに、不安を抱かないことだ
エピクテトス
神よ、変えられないものを受け入れる心の平静をお与えください。変えられることを変えるための勇気と、その違いを知る知恵とを
ラインホルド・ニーバー
以上、文中に紹介される名言です。
最後に
この記事を書いている現在、
世界中で新型コロナウィルスが猛威を振るっています。
あらゆる人々が様々な立場や状況で、日々戦い続けていることと思います。
しかし、ただ闇雲にがんばるのでは、かえって消耗してしまうことになりかねません。
心が疲れ果ててしまった時、いつもの元気が出ない時、死んでしまいたいほどの悩みを抱えてしまった時、「道は開ける」を読むことをおすすめします。
きっと、この本を読むことは、あなたにとって「薬」となることでしょう。
Kindle版なら思いついた時にすぐに読めて便利です。
スマートフォンやタブレットで読みましょう。
時間のない方はオーディオCDがおすすめです。
車で聴くもよし、スマホなどに読み込んでから聴くもよしです。
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